『「カルト」はすぐ隣に』からわかるカルトの脅威

 カルトは身近に存在し、引き込まれる危険性を主張している本です。オウム真理教入信者の取材を通じ、一般人がカルトに支配され犯行に及ぶ様子を書いています。ある信者はヨーガの本をきっかけに、またある信者は自分の近い人がオウム信者となってそれにつられるように。

 頭のおかしい人=カルトにはまる、といったイメージを持たれがちですが、実際は善良な人がマインドコントロールされています。しかも高学歴の人が多く、オウムの幹部構成もそれに該当します(組織内で高学歴を優遇していた制度もある)。

 当書は5章構成で、1章は教祖である麻原彰晃(本名:松本智津夫)の出生及び活動、2章は当時の社会情勢、3~4章は信者の麻原との出会いから裁判まで、5章はまとめを主に扱っています。特に、3章は一個人のみ扱っており、運転手として多くの事件に関与していたこともあり、事件も多く紹介されます。また、当時における組織構図の紹介も入っています。

 

 例のごとく、著者紹介をします。

続きを読む

魔法使いと刑事たちの夏

 八王子市を舞台にドM刑事主人公小山田聡介と聡介が見惚れている上司椿木綾乃に新米家政婦として小山田家在住の魔法使いリリィを中心に事件を解決するユーモアミステリー小説です。リリィの魔法で事件を解決する機会が多いですが、聡介はそれに依存しないよう捜査するのが特徴です。シリーズ作品全3巻で、当書は2巻にあたります。

 犯行から各回がはじまるので、犯人の正体を知った状態で事件の解決過程を読むというあまり見ない形式になっています。『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』シリーズに近いのかもしれません。また4話収録で約300ページと、一話辺りが短く読みやすくなっています。軽快な文章で話のテンポも速く、重苦しい雰囲気がありません。

 著者紹介もしておきます。

 

東川篤哉(1968-)広島県尾道市生まれ。1996年、鮎川哲也編『本格推理⑧』に「中途半端な密室」が初掲載。『謎解きはディナーのあとで』で2011年本屋大賞受賞。主な作品に『もう誘拐なんてしない』『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』『ライオンの棲む街~平塚おんな探偵の事件簿~』などがある。

 

 

 図書館に行ったときに返却コーナーで偶然発見したのがきっかけです。表紙のインパクトが強かったので、表紙借りをして、内容はほとんど見なかったです。シリーズ作品の続編であることも未知でした。前作はおろかミステリー小説自体読んだことがないので、心配して読み始めました。しかし一話完結に加え、最序盤に主要人物の紹介があったので、置き去りにされなかったです。もちろん前作読了した方がより理解できるのは言うまでもないことですが、前作未読者でもストーリーについていけました。新規読者への配慮を感じます。

 また登場人物の個性が強く、ストーリー重視よりかはキャラ重視の印象を受けました。聡介とリリィの関係が徐々に変化していく様子もあり、恋愛要素好きな人が欲しそうな描写もあります。

 ただ犯人の白状が速い、トリックが破られてからの展開が急ぎ足気味な点が気になりました。短編なので仕方ない部分でもあります。それにサスペンスドラマに近い展開を期待した部分もあったので、自業自得な気もします。とはいえ、気軽にミステリー小説を読みたいときはこの分量ぐらいがいいとも思えます。

 

 ミステリー小説興味あるけど読んだことない、東川篤哉作品を『謎解きはディナーのあとで』しか知らない、そういった方にオススメできる一冊です。

『経済の考え方がわかる本』

  「帰省ラッシュ」、「失敗した買い物」をはじめに身近な例を中心に扱いながら、経済の仕組みと専門用語を学べる著書です。先生と数人の生徒との会話形式で進行していくので、同席して会話を聞くスタンスで読めます。また生徒側が頻出しやすい勘違い・間違いを述べ、先生がそれを指摘する場面もあります。それによって、会話形式で起こりうる生徒側が即理解して読者が置き去りになる、といった事態を予防しています。

    岩波ジュニア新書なので全14章約200ページと、気軽に読める分量になってます。それだけでなく、各章最後に選択式と記述式の練習問題が用意されていて、読んだ内容をアウトプットできるようになっています。読書によってインプットしたけどそれっきりで忘れてしまうことがあるでしょう、そういった事態を回避できます。また記述式問題は自分の生き方について考える機会になるものもあります。一部紹介しますので、一度考えてみてください。

 

続きを読む

『経済のしくみ100話』

 「円高」「価格」「景気循環」など、聞く頻度が高い経済用語を扱い、それらを各見開き2ページで100個解説しているのが特徴です。3章構成で、1章が頻出単語、2章が基本的用語、3章が経済問題を中心に取り扱っています。昨今話題の投資は2章、格差は3章で述べており、ホットな話題にも対応しています。説明が難しいことを平易な文章で述べていて、ビジネス本特有の取っつきにくさが薄いです。一部紹介するので、読んでください。

 

続きを読む

書評ブログ開設

はじめまして。

この度、本を紹介するブログを開設しました。

 

紹介する本のジャンルは決めておらず、適宜更新していきます。

ジャンル不統一だからこそ、普段見かけることのない本と出会う機会にできる様頑張っていきます。

拙い文章ですが、読んでくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。